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04月20日
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福が増える? それとも福が消える?

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【衲履足跡】
己の欲望を満たせば福が消える。苦難にあえぐ人を救えば福が増える

愛の心を永久に持続させる
「形のあるものは破壊されても作り直すことができますが、形のない心は貪、瞋、癡に汚されると、しきりに禍を引き起こします。勤勉と節約を心がければ、不景気の荒波を乗り越えられるでしょう。善の心がけで、苦難にあえぐ人をいたわりましょう」

四十三年前、慈済志業は「竹筒歳月」(竹筒の貯金箱で義捐金を貯めた慈済の初期)から始まりました。竹筒の貯金箱を家に持ち帰り、毎日五十銭玉を一つ入れて救済費用のために蓄えました。一枚一枚の小銭が貯金箱を満たし、まるで一滴一滴の水が川を形成するようです。今、慈済人は世界各地で救済の奉仕に励むと同時に、「竹筒歳月」に回帰しています。この精神は人々の共鳴を得ています。

十一月、米国の南部カリフォルニアの山火事は、広大な面積の森林を焼いただけでなく、住民の家屋をも焼いてしまいました。慈済人は、被災者に物資引替え券や毛布を贈り、親身になって慰めました。被災者はこのことに感謝し、さらに「竹筒貯金」を意義ある活動と認めてくれて、我先にと参加しました。

被災者のリサさんも慈済ボランテイアの紹介で、竹筒貯金箱を持ち帰りました。隣近所の人や商店を訪問して募金に励み、翌日にはコインに満ちた竹筒を慈済人に送り返しました。わずか六日間に五本もの竹筒貯金箱を送り返しました。

リサさんの娘、マイリさんも学校で皆に伝えました。「竹筒歳月」の物語を紙に書いて学校の掲示板に貼ってほしいと先生にお願いしました。たとえ一セントでも少なくはない。小銭が集まって善事を尽くせるこの尊い意義ある行動は学校で広まりました。

「慈済人の援助を得た彼女たちは愛の心が呼び醒まされ、愛の行動を周囲に広げました。これらは愛の循環です。一セントでも人助けの善心になります」。慈済人は世界各地を回って、苦難にあえぐ人を助け、物資をさしあげています。「一番重要なことは、彼らに自尊心を取り戻させ、さらに愛の心を呼びおこして、善の循環が途切れないようにすることです」と、法師さまがおっしゃいました。

着実で勤倹な生活
来客と会談した法師さまは経済危機について話しました。「景気はもともと循環するもので、最高点に達すると、自然に下落するものです。低下するからこそ、再び上昇するようになります。この度の金融危機は、過去のバブル経済の破綻から起きたものです。金融危機の原因を深く考えずに、ひたすら消費を刺激しようと呼びかけることは、経済を助けるよりも、悪化させる畏れがあります。不必要な消費は避けた方がいいと思います」。

不況に遭遇した現代人は、消費スタイルを調整するべきです。計画を立てて、金銭を有意義に運用することに努力しなければなりません。

「お金を使う時、よく考えてみましょう。今買うものは生活必需品か? もしくはただ欲しいものか? 享楽のために消費すれば、欲望は底無しになります」。衆生が贅沢と享楽に溺れないように、そして勤勉、節約の生活を送るようにと、法師さまは切望されました。日々蓄えた小銭は、貧しい人を助けることができます。愛の心が途切れないように精進しましょう。


文・釋徳凡/訳・慈憙