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04月20日
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潮に洗われた硬貨と麗しい循環

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3月11日、あの日の地震と津波から二年が経ちました。慈濟日本支部はこのほど、思いがけない「竹筒募金」を受け取りました。中には百枚以上の世界各国の硬貨が詰まっていましたが、どれも白い潮の跡が残っています。このお金は東松島の被災者、千葉博さんが海外旅行の記念に取っておいたもので、津波の中から取り戻してきたのですが、慈濟の救済活動の一助にということで贈ってくださいました。

2011年3月11日、日本で世紀の災害が発生するや否や、慈濟は全世界の39ヶ国で募金活動を開始し、被災者への支援を行いました。災害発生後、慈濟はすぐさま炊き出しや避難所への物資提供に取りかかり、続いて被災地の岩手・宮城・福島三県の二十五の市で十回にわたる「住宅被害見舞金」の配付を実施しました。四千人を超えるボランティアが台湾を始めとする全世界からの愛を届ける手助けをした結果、九万六七七六戸の被災者に合計五十三
億円を贈ることができました。また、釜石市内の十八の学校三千七百余名の学生に対して、二学期分の給食と学校専用車の費用を支援しました。

千葉さんの行いは、東北の被災地では珍しいことではありません。海に飲み込まれて潮にまみれた硬貨は、津波の爪痕を残しているだけではなく、過去の傷跡が現在の愛へと変わり、善の心を発揮させる麗しい循環を表しているのです。

硬貨に残る白い斑点を見るたびに、恐ろしい災害の記憶が新たになります。でも、この一枚一枚に込められた善の心は大きな愛のエネルギーとなるのです。慈濟日本支部の陳量達は、この津波から戻ってきた硬貨を台湾に持ち帰り、台湾の人々とともに被災者の感謝とお礼を受け取りました。災害から二年が経った今も、慈濟のボランティアは被災地でのケアを続けています。

千葉さんは、慈濟が国際的な団体であることも、世の中にはもっと多くの人たちが苦しみ助けを必要としていることも知っていました。心に愛があれば、小銭しか残ってなくても、それをも寄付する準備があると千葉さんが語ってくれます。一人一日一円でも構わないのです。毎日貯まっていく善の心は世界を変える力へとなるのです。

被災者からボランティアへ

災害から二年目、被災地では多くの被災者が慈濟のボランティアへと転身し、「竹筒募金」の活動を始めています。多くの人々がこれに応じ、台湾からの愛に応えようとしています。

陳量達よると、昨年末、ボランティアたちが被災地で歳末祈福会を開催し、證厳上人からの「福慧紅包」を贈ったところ、すでに慈濟と熟知の間柄となっていた地元の人々はみな喜んでこの贈り物を受け取り、神棚の上に飾って日々感謝の念を強くしたとのことです。

過去の傷跡が現在の愛に変わるように、慈濟の「竹筒募金」も愛の循環を動かし、被災地復興の希望が少しずつ近づいてくるのです。

文/吳季春
訳/岸野俊介
校正/Isa