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11月12日
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『感恩』の文化

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【納履足跡】
奉仕すると同時に相手に感謝する心がまえでいると、見返りを求めない奉仕を行うことの歓喜に浸ることができ、心霊は軽安自在です。

慈は心の苦をのぞき、
悲の心で慰め励まします。


台中市豊原区に住む夫妻がいます。夫が五十三歳、妻は三十七歳で、八人の子供を養育しています。年齢の一番大きい子は十六歳、末の子は五カ月で、経営する車床加工工場に住んでいます。妻はインドネシア籍で、言語、文化、生活習慣が異なる台湾の社会に馴染めず家に引きこもりがちで、子供の教育や衛生習慣をおろそかにしました。幼稚園へも汚れた服を着て通園し、体は不潔で異臭を漂わせているので、教師は何度も親と話しあいましたが、一向に改善されませんでした。困りはてた先生が昨年十一月、慈済に協力を求めてきたのでした。

慈済人が初めて一家を訪問したとき、家の中は汚く乱雑でした。そこらじゅうに物が積み重ねられ、子供たちはそこかしこで大小便をします。お風呂に入ることも少ない様子で、その場で寝るために体は尿のにおいにまみれています。腹がすいたら手づかみでご飯やおかずを食べます。衛生の常識も教養もないありさまの、かわいそうな一家です。ボランティアは毎月訪問して、 母親と話しあいました。やっとのことで、まず子供たちの生活環境を整えることに同意しました。昨年十二月、同村の十数人のボランティアが協力して清掃しました。腐爛した板床をはがして、新しい床をはりました。ふとんや回収した衣類をあげ、ふとんの畳み方を子供たちに教え、良い習慣を身に着けるように励ましました。ボランティアたちの熱心な奉仕に感激して、母親は警戒心をとき、家屋全体の修繕に同意しました。子供たちもみなよく進歩しました。先日訪問したとき、子供たちは拍手で歓迎し、「毎日自分でふとんを畳んでいるよ」と大喜びでボランティアたちに報告しました。片づけや掃除の習慣も身に付き、 母親も家事をするようになりました。

「感恩」という一言には深い意味が含まれています。この句は慈済人の心の修養を示すもので、慈済の人文です。「感恩」という言葉は礼儀上の常用語であるだけではなく、「皆が奉仕を行う中で滞ることなく、自分の心を浄化すれば、心霊は軽安自在です。奉仕の機会を与えてくれた方への心からのお礼の言葉です」

「無縁の大慈、同体の大悲」といいます。奉仕を行う相手の方とは縁もゆかりもない見知らぬ人です。ですが、自ら喜んで汚れた環境に入り、整理、清掃してあげます。「慈」で苦難を除く心、「悲」の心がまえは、人々を家族と見なして、大愛でいたわり、世話する人は正に人間菩薩です。持続的に大衆を励まし、皆の愛の心を呼びさまし、愛と善の心が増強することを法師さまは期待しておられます。

宗門と法脈は二本の轍

『無量義経』にこうあります。「水は身近で種々の用途があります。江、河、井、池、渓、海は、それぞれ違った功能があり、法性も異なります。塵や汚れを洗いおとす功能は水とかわりません」。異なる宗教は自ずと名称も違い、また、組織形態も異なります。ところが発心の大本は、同じく大愛から出発しています。奉仕して見返りを求めない広大な心がけは同じです。イスラム教、キリスト教、カソリック教は、慈済に入り込み共に奉仕ができます。共に天下の一大事を担い、群衆に分け入って衆生を度します。

静思法脈は、『勤行道』で精進の行動、内心は『誠正信実』を修得します。慈済法門は『人間路』で修行、民衆に分け入って『慈悲喜捨』の奉仕を実行します。まるで、汽車が走る轍のようで、必ず平行に共に進まなければなりません」

「静思法脈勤行道」は単純、清浄な心で、内的な誠正信実を修めて、人の中に分け入って愛の奉仕を行い、事理に明るく、仏法を信じ、仏に対して敬虔な態度で真心込めて信心を固く持ちます。「三十七助道品」の中の八正道(註)は、仏教を学ぶ人たちの基礎観念を固めます。「信」は修行の大本営で、功徳の母とも言います。必ず正信の仏教をまなび、偏ることなく実に深い信念で心して学び、迷信や妄想にまどわされません。

今年五月、釈迦誕生祭、母の日、慈済の日の三大節句を合わせてお祝いする潅仏会を行うようにと、全世界の慈済人に呼びかけました。人々は浴仏と同時に各自の心を清めて精進し、清浄な仏性に近づきます。すなわち、「誠意方殷、諸仏現全身」、万人がおれば万仏になることになります。人々が合心、合気、相互に協力して初めて荘厳な法会が成功します。

「今の時代に法を広めるには科学技術の助けを必要とします。法師のお話をきくだけでなく、自らこの世の真理を悟つて法に浸り、法を実行するべきです」。精進、精進、さらに精進! 地域の衆生を導いて「法海」に入りましょう。法の船が地球村の衆生を度せるように努力しましょう。一人増えればそれだけ救済の力が増すことになるのですから。

註:八正道ー正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定

◎文・釋徳(亻凡)/訳・慈憙
 

" 貧しい者は物質が乏しいために苦しみ、富める者は心がむなしいために苦しむ。貧しい者はあらゆる方法を講じて物質を追求するためにたいへん悩み、富める者は持っているものを失いはしないかと心配ばかりして、心は穏やかでなく自在になれない。 "
静思語