慈済ボランティアに参加して

2010年 8月 07日 慈済基金会
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二〇〇八年二月に台北の友人の家に ホームステイをして、私は慈済を知り ました。彼女の御母上がとても熱心に 慈済のボランティア活動をしていました。慈済ボランティアはスケールがと ても大きいと感じました。また家庭の主婦が集まって活動しているところに 興味を持ちました。

それからしばらくして、御縁があり 私も慈済の扉を叩くことになりました。 日本人を対象にしたお茶会で、慈済の歴史と活 動を知ることができました。 お茶会は日本語でのフリートークを交えた気軽な交流の場でした。 炊き出しの活動を知り、 二〇〇九年十二月にはじめて「街の友」の炊き出しに参加しました。ホームレスの方々を慈済では「街の友」とよんでいます。毎月の第一月曜日に慈済による代々木公園で炊き 出しが行われています。

はじめての炊き出しと、上野公園の毛布の配布に参加した時は複雑な気持ちでした。街の友に理解を持つ事が出来なかったからです。日本には生活保 護制度をはじめ様々なセーフティネッ トがあり、職業訓練やホームレスのシェ ルターなどがあるのに、仕事をしないで気ままに暮らしているのだろうと批判を含んだ気持ちを持っていたからです。私をはじめ多くの日本人は街の友に理解が足りず思いやりの気持ちを持つことは少ないのです。

二〇一〇年一月四日に新年はじめての炊き出しがありました。この時、私の気持ちに変化がありました。街の友が新年を晴れやかに迎えていないからです。お正月は家族や友人と楽しい時間を過ごす時です。ですが彼らはとても辛く厳しい状況です。多くの人が仕方なく不運が重なるなどして仕事に就けないのだと考えるようになりました。 行政サービスにも助けてもらえなかったかもしれないし、健康状態などで仕事が得られず住む場所もないのだろう なと思いました。慈済のメンバーは心から街の友の心身を気にかけています。 三百人もの街の友に手を差し伸べているのは台湾人で、同じ日本人はほとんどいません。この状況に胸が苦 しくなりました。私の心が開いた時、街の友の目を見てコミュニケーションをとれるようになりました。多くを語り合い笑いあって私も慈済の気持ちを届けることが出来たと実感しまし た。 二月の炊き出しでは街の友から積極的に話しかけてくれるようになりました。 とても嬉しいことです。

慈済の気持ちが日本にもっと広まれば明るい社会になると思います。ボラ ンティア活動はほんの少しでも、得られる感動や知恵はとても大きいのです。 これからも慈済ボランティアを通して多くを学びたいです。

文/小野寺 梨紗 
写真/林金勇