迷いの人生から悟りの人生へ

2010年 7月 01日 慈済基金会
印刷
その二・資源回収をはじめよう

「皆さんお願いします。今拍手している両の手で資源を回収してください」と私が呼びかけてから二〇一〇年までに、およそ八万余りの人が環境保全ボランティアの列に加わっています。登録していない人を入れれば、もっと多いはずです。彼らはそれぞれ自分に合った時間帯に資源の回収をしています。ですから昼夜を問わず、いつも誰かがどこかで作業をしているわけです。本当にありがたいことです。

回収した物を再生するだけではなく、場合によっては、回収に携わる人自身が再生を果たすことになります。

いつも黄金や宝石のことばかり考え、毎日念入りにおめかしして遊びまわる奥さんがいました。家事は夫任せです。彼女が遊び疲れて帰ってきた時、食事の支度ができていなければ、腹を立てて怒鳴りつけるそうです。

そんな人が環境保全のボランティアになって、見違えるほど素朴な人になりました。なぜ宝石などの装飾品を全然つけなくなったのかという問いに、彼女はこう答えました。「法師さまがそんな物は廃物同然だとおっしゃいましたから」と。

彼女は清らかな人生に戻ったのです。回収の仕事に打ち込む嫁さんの姿に、お姑さんが、どうして他人のことを一生懸命手伝っているのだろう、と訝ります。嫁さんは答えました。「お姑さん、證厳上人に感謝すべきですよ。おかげでよい嫁を得たのですから。もし法師さまにお会いしていなかったら、家の財産を使い果たしてしまったでしょう」。

なんとすてきな人生でしょう。

THINKING

回収した物を再生するだけではなく
回収に携わる人自身も再生を果たすことになる
素朴な生活の中で足るを知り
縁を大事にすれば
清らかな人生となる


文・證厳上人/訳・慮慇