祈福感恩会 善き思いが集い、喜びが満ち溢れるとき

2010年 8月 07日 慈済基金会
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慈済日本支部は一月二十三日、恒例の感謝祝福イベントを行いました。年一度の行事のため、ボランティア達は家事そっちのけで一カ月も前から「紅包」を作り続けました。「六波羅密」を意味する六粒の稲と「一元再開」を表す一元硬貨を貼り付けていくのです。
例年は日本支部で行われましたが、会場の制約から二階で別々に分けざるを得ませんでした。今年は練馬区の会場を貸し切り、全員が一堂に会して心を澄ませ仏法に耳を傾けることにしました。初めて使う場所のため、何度も会場に足を運んで周到に準備を進めてきました。当日朝九時、ボランティア達がさっそく会場設営を始めます。淑英さんの指導により、舞台装置は荘厳かつ質素な慈済の精神を十二分に現わすものとなりました。賄い担当のボランティアは故郷台湾の味を用意し、寒い中作業する人々に暖かい心のこもった食事を届けました。

衆人協力同行菩薩道
開場前、ボランティアと中国語クラスの生徒の家族、来賓が挨拶を交わし、交流を深めました。「人文芳香エリア」はとてもにぎやかで、多くの来賓が上人の法話集に手を伸ばされました。「菩薩応募エリア」では来賓が次々と慈済ボランティアの志願表に記帳しました。慈済人が一人増えれば、それだけ社会の安定に貢献できるのです。上人は「三人寄れば衆人となり、衆人が力を出し合えば協力が生まれます」とおっしゃいました。慈済の菩薩道へ、多くの人々が進むことを願ってやみません。

善き思いが集うとき
午後二時、小野雅子さんの温和で優美なナレーションに導かれ三百名もの来賓が入場し、「紅包」を作る過程とその含意についての映像が写されました。続いて流れてきた感謝と祝福に溢れた挿入曲の中で、麗香さんの穏やかなトーンでの語りが会場の一人ひとりに暖かい気持ちをもたらしました。会場の人々が互いに祝福し合えるよう、例えば年長者、一家での参加者、個人での参加者、癌との闘病者、ボランティアの家族など、いろいろなグループごとに立ち上がり、全員から祝福を受けてもらいました。感謝と祝福の歌声があちこちから上がり、感動的な光景でした。
「二○○九年日本慈済大蔵経」を通じて、日本支部の慈済人による一年の努力を振り返り、慈済大蔵経の実践のため寸時も惜しんで働いている全世界四十七ヶ国の慈済人に思いを馳せました。苦難の溢れる所、必ず慈済の光が射すのです。ある癌患者は「病気になって慈済人の思いやりを受け、初めて慈済の存在を知りました。今日、ここに来て、ますます慈済人の限りない愛を感じることができました」と感動の思いを伝えてくれました。

無量法門仏号を一句一句唱えながら、支部長の張秀民さんが「紅包」を配り、上人の祝福と感謝を伝えました。年長者から子供まで順々に舞台へ上がり、上人と精舎師父が授けられた「紅包」を受け取ります。日本で慈済の使命を果たす重役を担い、どんな困難にも挫けず、常に微笑みを絶やさない支部長より挨拶があり、地球の傷口を少しでも癒すため、人類の未来に希望を与えるため、菜食を呼びかけました。

正しい知恵と良縁
豊富な経験を持ち、慈済の救援活動で常に先頭に立つのが陳金発さんが、今度の祝福会のために日本に立ち寄り、四川大地震・ミャンマーのサイクロン・台湾の八八水害など国際的な救援活動の経験をお話いただきました。四川から戻ったばかりで、しかも風邪気味にもかかわらず、すばらしい演説になりました。映像を見ながら聞く現場のエピソードに、会場では思わず嗚咽の声が漏れました。話の最後に、「縁があれば万事よし、縁がなければどうにもなりません。だからと言って、他人のひと言に一喜一憂するべきではないのですが、行いの中に知恵を得て、行いの中に良縁を結ぶことが大切です」と日本の慈済人を励ましました。

世界中への祈り
張瑞銘さんは優雅な歌声で慈悲の心の道を共に進むよう人々の心に訴えかけました。新年の始まり、上人の祝福と祈祷の映像と共に、全員で祈りを唱えます。燈籠を手に慈済人たちが会場を囲み、支部長の先導で祈祷が行われます。この瞬間、善に溢れた声が世界中の平安のために祈りを捧げました。バイオリニストの黄新民さんは「愛と思いやり」という曲を演奏し、同時に画面にはハイチの様子が映し出されました。愛に満ち溢れた旋律と善の共鳴の中、上人がハイチ大地震に際して書かれた書簡が読まれます。会場は傷ついた大地への愛と思いやり、世界中の無災害を祈る心で包まれました。世界中が愛と思いやり溢れる「慈済心」で満たされ、人々が皆平安であることを祈らずにはいられません。終了後、一人の女の子が一緒に来た友達と話していました。「来年も家族のため、友達のため、私を愛する人のため、私が愛する人のため、この社会のため、この土地のため、世界の平和のためにお祈りしたい。」

訳/岸野俊介
写真//劉怡君