幼い子も潅仏会を学ぶ 

2012年 5月 29日 慈済基金会
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慈済は四十六年の歳月を歩んできた。毎年五月の第二日曜に、釈尊の降誕、母の日、慈済の日の三つの佳節を合わせて潅仏会が挙行される。厳かな儀式によって心の垢を除き、法の香を心に留めれば心は自ずと清まる。

今年は三十四の国や地域において、同時刻に潅仏会が挙行された。日本では三一一東日本大震災の写真展を兼ねて、慈済会日本支部で潅仏会が行われた。

一心に学び 心を調え気を養う

長年華道を学んできたボランティアの藤本裕子さんのチームは、毎年潅仏会の会場配置を引き受けている。前日、大阪から六人のボランテイアが東京へ来て、式場の司会や配置、取材や撮影などそれぞれの役割について学んだ。六人のボランティアは分秒たりとも無駄にしない。教える方も教わる方も一生懸命だ。

正式の潅仏会を行う前に、ボランティアは人文教室の八十七人の生徒のため、特別に潅仏を行った。今までにないことである。幼児組の幼い子から成人組まで、たとえその意味がはっきり分からなくても、小さい時から厳かな雰囲気の中で仏の徳に触れられることに、多くの父兄は喜びを感じていると言う。生徒たちは皆謹んで盛大な潅仏会に参加した。

心を落ち着かせ 静かに潅仏

大自然をテーマとした音楽が流れ始めると、第二部に参加する百八十人の民衆は、司会者の誘導に従い、呼吸を調え心を落ち着かせ、静かに謙虚に大地の息吹を感じとり、儀式の時を待つ。

《無量義経》の音楽が流れる中、灯明、香、湯を供える者十六名が息を潜め、心を引き締めて、ゆっくりと入場する。潅仏会の荘厳な道気によって、真心からの願いが天に届くように、人心が浄化されて和やかな社会となり、万物は栄え天下平安であるように……。

ボランティアの春日正博さんは劉英吉師兄に誘われて今年四月、写真展「心でつながろう」を参観し、この度潅仏会に参加するため、家族四人で初めて日本支部を訪れた。潅仏会はたいへん心打たれる儀式だと春日さんは言う。可愛い二人の娘さんは、自分たちが物資の運搬を手伝っている写真を見つけて目を丸くする。慈済のイベントがあればきっとまた来ると家族皆が言った。

何さん夫婦は八カ月の次男を抱いて潅仏会に参加した。ここ数年、二人は子を亡くした苦しみに苛まれてきた。その間、少しでも痛みが和らぐようにと、慈済ボランティアがやさしく寄り添ってきた。その夫婦が一家三人で喜んで潅仏会に参加したのだ。二人は暇さえあればボランティア活動に参加している。

山田智里さんは、ボランティアの列に加わってからまだ半年に満たない。台湾から日本へ嫁いで三十余年、一心に家業に打ち込んできたが、これからは慈済の志業に尽力し、證厳上人に随って菩薩道を歩むと決心した。今回初めて潅仏会に参加した山田さんにとって、この日は最も感動した日である。山田さんが長年面倒を見てきた障害のある弟からメールがきた。母親代わりに世話してくれた姉への感謝と、母の日のお祝いの気持ちをこめたメールだった。近ごろ弟も台湾台中県の慈済ボランティアの誘いを受けて、環境保全のボランティアになったそうだ。

スリランカ大使館に勤めるパトマさんは、あまり優れない体調を押して潅仏会に参加し、福慧の貯金箱を寄付した。

法は水の如く心の垢を洗浄し、菩薩は広く無量義を行ずる。民衆は真心でもって潅仏会を行い、仏の名号を唱えて会場を巡る。一人ひとりが上人の切なる戒めを胸に、内的には誠正信実を修め、外的には慈悲喜捨を行い、己の煩悩と執着のしがらみを払いのけて、清らかな輝かしい心を取り戻すことを誓った。そしてさらに人々の中に入り込んで、苦難の衆生を慰撫し、積極的に人間菩薩(じんかんぼさつ)を募り、人々の善の心を、善の行いを募るのだ。願わくは善業の福の力でもって、平安と吉祥を得られんことを。


文・許麗香
訳・慮慇