被災地の愛の天使

2016年 6月 29日 慈済基金会
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この日、被災地大津町での炊き出しで、四百人分のトマトスープを応援部隊がくるまで、七人チームが引き受ける事となった。

二十五日の昼ごろ、熊本で休校中の学生たちがボランティア活動に参加してくれました。更に慈濟大学の姉妹校、尚絅大学の北口英穂先生も八名学生を連れ立って手伝いに来てくれたことで、人手不足の問題が解決されました。

キャベツ、ニンジン、白菜、しいたけ・・、子供たちにそれぞれの担当役割を分けました。皆がボランティアに初参加なので、慣れないながらもその純真さは天使のようなもの、雨の中でもその笑い声は暖かい日差しのようにみんなの心を支えてくれました。私たちは毎日被災者の方に烏龍茶を差し上げていることを子供たちに教えました。被災者の方から「あなた達の烏龍茶は本当に美味しいです。地震後、毎日お水しか飲めなかったです。」とご好評を頂き、喜んでくださいました。中学二年生の菜々ちゃんがボランティアの仕草を真似して、笑顔でお茶を差し上げながら、「百歳まで元気でね」とお年寄りらを励ましました。これほど大きな地震の後で、子供たちは大人の焦りと悩みを察する。その気遣いは大人の私たちに感動を与えました。

翌日「上を向いて歩こう」という曲の手話を子供たちに教え、覚えたら避難所の皆さんに披露すると約束しました。またアクリル毛糸とカギ針を随時手持ちするボランティアメンバーは、子供たちにエコたわしの作り方と使い方を教えました。青空の下、野原、阿蘇山は私たちの自然教室になりました。

吹奏楽演奏会 進行

三十日の青空教室にスペシャル音楽授業を行いました。炊き出しの支度の合間に子供たちに吹奏楽演奏のことを説明をしました。子供たちは「本当に?本当に演奏するんですか?」「え〜っ、まじー?」の声が連発。最初は戸惑いながらも、「お爺ちゃんとお婆ちゃん達にあなた達の賑やかな笑声と笑顔が必要なのよ。」と念を押したら、やっと賛同してくれました。子供たちが百円ショップで買った楽器をわずかな時間を利用して体育館の片隅で真剣に練習しました。名付けて“被災地吹奏楽団”が設立されました。

そしてこの日、綺麗な青空の下で子供たちが百円楽器を持って避難所へ入りました。練習やリハーサルの時間は僅かしかなく、演奏もほんの三分間だったにもかかわらず、お爺ちゃん達とお婆ちゃん達は素敵な笑顔を見せてくれました。さらに、あるお婆ちゃんがお礼として「ふるさと」を歌ってくださいました。そうです、ここはふるさと、私たちみんなが家族みたいになりました。お婆ちゃん、ありがとうございました。被災地の愛の天使たち、ありがとうございました。

文/陳靜慧 訳/福田紫宇