若木を育む 「新芽奨学金」

2017年 4月 26日 訳‧文/陳量達
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日本支部新芽奨学金設立報道
二〇一五年末、日本支部は新芽奨学金を提供する企画を着手し始め、それからは協力学校との話し合いや説明会などを経て、やっとこの四月に最初の受給学生を迎えることができた。

奨学金を立ち上げたのは、経済的に困っている子供たちが学業を続ける夢を諦めて欲しくなく、そして、奨学金を受ける学生が空いている時間に、慈善活動に参加することによって、慈悲心を養い、人に助ける側にもなって欲しいからです。

海老本直樹は新芽奨学金の事務局を担当し、昨年の四月から町田デザイン専門学校と、やっと話がうまくまとまってほっとした!学校側と話し合いを進めている中で、世帯収入が年間百万円以下で、生活保護を受けなければならない家庭もいることを知った。このような状況で、学費に書籍代、通学費、生活費などはあまりにも大きな負担になる。その中には母子家庭や、まだ就学中の兄弟がいる家庭もいる。多くの学生は学費や生活費を稼ぐため、アルバイトを余儀なくされることに、彼は心を痛めていた。そのために、彼は一生懸命この奨学金の執行に励んできた。

Q:日本では、ほとんどの奨学金は貸し奨学金ですが、新芽奨学金もそうですか。
A:いいえ、学生の負担にならないように、新芽奨学金は給付型の奨学金であり、返す必要がありません。

Q:新芽奨学金の対象者は日本人学生ですか?留学生ですか?
A:国籍にはこだわりません。しかし、力不足で全学校に公開応募することは対応しきれないため、学校ごとに交渉して協力校の学生を応募するのです。今年は一校のみですが、今後は徐々に増やしていくつもりです。

Q:どうやって申請できますか?
A:協力校で説明会と募集を行っていますので、学生は学校に募集要項及び申込書をもらい、記入後は学校経由で慈濟日本支部に提出します。詳細の流れについては募集要項を確認して下さい。

Q:協力校以外の大学もしくは専門学校の学生で、経済的支援が必要な場合は、この奨学金を申請できますか。
A:このような方が居れば、慈濟日本支部に相談して下さい。新芽奨学金ではないが、個別の慈善事業のケースとして検討して審査します。

Q:新芽助學金を受給する学生は,慈濟に入会しなければならないですか。何か義務はありますか。
A:学生は慈濟への入会する義務を負いませんが、人を助ける人になることを望み、空いている時間に慈濟の慈善事業ボランティア活動に参加してほしいです。

Q:どのようなボランティア活動ですか。
A:主に路上生活者の支援活動、病院ボランティア、施設慰問活動、ケアケース、街の清掃活動などです。

学生がボランティア活動に参加することをサポートするため、十五名の慈濟ボランティアからできたサポートチームを立ち上げました。ボランティア活動のサポート以外、学生を温かく見守っていくためです。

サポートチームメンバーの杉本真由美は、かつて母子家庭でしたので、節約しながら奨学金を支給してもらい息子を大学まで行かせた。慈濟が困窮している学生のために返金義務のない奨学金を支給すると聞いて驚かされた。日本の政府でもやっていないことなのだから。今回は参加できることを喜ばれていた。困難な状況の中で一生懸命頑張っている学生が、自分の将来に希望を持つことができるように、少しでもお役に立ちたいと心を決めていたそうだ。

同じくサポートチームの一員である井田音心は、学生達が面接に臨む姿勢から、学生にとってはこの奨学金を重視することを感じた。四回にわたるサポートチームの勉強会を通じて、これからどのように学生をサポートするかを学び、学生たちとの出会いが期待される。春の足音が聞こえてくる三月のころ、未来の希望が見えてくるように感じられた。まさに證嚴法師の教えのように、清らかな大愛で全ての人々に接して、世の苦難を見て自分がいかに幸せかを気づき、足るを知る者は富み、そして更に人を助ける側になれば、きっと大きな智慧が得られる。

種は土から栄養をもらい、太陽の光と温かみ、そして雨水の潤いで、やっと芽生える。受給者の学生たちにも種のように、家族、学校、そして社会の暖かい見守りのなか、足ることを知り世に感謝の気持ちを忘れず、更に夢に向かって邁進し、世の役に立つ人になることを切に期待している。

訳‧文/陳量達