慈善事業

2011年 5月 02日 慈済基金会
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證厳上人の師である印順導師は證厳上人の帰依を認めた時、こうおっしゃいました。「出家したからには一生を仏教のため衆生のため尽しなさい」。證厳上人は印順導師のみ教えに従って、世の救済活動を行う決心をされました。

慈済が成立した当初からの活動として、生活が困難な家庭に対して行っている長期生活保護ケアがあります。国の福祉政策の向上とともに、対象家庭も減る傾向にありますが、自然災害や突発的な事故などで生活に支障をきたした家庭もこの対象となります。慈済が成立した当初、證厳上人と会員がまず始めたことは、生活が困難な家庭に食糧などの物資を援助することでした。
この時、上人たちが住んでいた花蓮の普明寺の敷地は狭く、この中で修行生活をしながら内職の仕事もし、救済物資の配付も行っていました。これを見かねた證厳上人の母堂が寺の隣りの土地4千5百坪を買って寄付なさいました。ここに證厳上人と弟子僧たちの修行生活の場となる静思精舎が建てられました。この質素でつつましい佇まいの静思精舎は慈済の慈善活動発祥の地であり、慈済人の心のルーツとなっているほか、慈済本部もここに置かれています。

1999年9月21日に台湾中部で起きた大地震は、死者2413名を出す大惨事でした。この時、慈済は被害地域の近隣の慈済ボランティアを召集し、ただちに被災現場に向い、炊き出しや物資の支給などの支援を行いました。また、気が動転している被災者や遺族を慰め、不幸にも亡くなられた犠牲者のために念仏を唱えるなど、物質面だけではなく精神面のケアにも心を配りました。

慈済は「真っ先に駆けつけ最後まで残ってケアする」という理念のもと、被害が収まった後も被災地復興のためサポートを続けています。住宅を失った被災者のために仮設住宅「大愛の家」を提供し、地震で校舎が倒壊するなどした小中学校51校の再建事業を請け負いました。「希望工程」と名づけられた慈済の学校再建事業は、2003年5月までにすべて完成しました。多くの慈済ボランティアが休暇を利用して建設現場にやって来て、校内の景観づくりなどの作業を行いました。こうして、子供たちの勉学意欲と情操教育への影響をよく考慮して設計された、自然と調和した美しい学校が出来上がり、地元の人々に喜ばれています。

2009年の8月には台風8号が台湾南東部を襲い、大水害が発生しました。慈済人はすぐさま浸水した被災地に出かけ、被災者に生活必需品を支給しました。洪水で道を阻まれ、食糧不足に直面していた被災者を救済するため、慈済ボランティアはゴムボートやトラックで被災地の奥深くまで行って、弁当を配りました。また、被災者の清掃の手伝いをしたり、医者が施療に出かけたりするほか、犠牲者の遺族に慰問金をおくりました。政府の決定で移住することになった村の住宅建設計画に参画して、被災者の就学援助や心のケアなど多角的で長期的な援助を行っています。2010年2月に高雄県杉林郷、4月に屏東県高樹郷の大愛団地が次々と落成し、被災者たちは入居しました。

こうした災害発生時のボランティア経験をふまえ、慈済では各地の支部で災害援助ボランティアチームを組織し、定期的に災害援助の訓練や研修を行い、いざという時のために備えています。また、海外で事故や災難に遭った同胞があれば、当地の慈済人が通訳やケアなどのお手伝いをしています。