【地球と共生する】
その二・資源回収をはじめよう
台湾南部の港湾都市・高雄に住む、ある環境保全ボランティアのお話です。彼は「ウナギおじさん」と呼ばれ人々に慕われています。
船員だったウナギおじさんは退職した後もしばしば波止場を散策します。波止場のあちらこちらにゴミを焼き捨てた跡があるのを見る度に、「なんてもったいないことするんだろう。再利用できる資源をお金に換えて慈済に寄付すれば善を行うことができるのに」と思うのでした。
そこでウナギおじさんは、空き缶やペットボトルなどを一つひとつ拾い上げました。それからは毎日波止場へ行って、せっせと資源を拾い集めています。
間もなく、ウナギおじさんの行いに感動した娘婿がわざわざ回収品の置き場を設けてくれました。拾い集めた品々はそこにきちんと整理され、車が運びにくるのを待ちます。「誰もが早く環境保全を始めなければ、子孫がゴミの山に住むようなことになりかねない」としみじみ言うウナギおじさんはたいへん情け深く、よく働きます。ゴミの問題を心配し、資源を大切にして大地を護ろうとしているのです。
ウナギおじさんは自分の力を軽んじることなく、人のためになることであれば何でもやろうとする人です。なんと智慧のあるお年寄りでしょう。
「私一人ぐらいやらなくても構わないだろう」などと思ってはなりません。一人残らず全ての人が行動を起こさねばならないのです。一人ひとりの行いが寄り集まってこそこの世は美しい浄土となります。皆さんが心を合わせて努力すれば周囲はすっかりきれいになり、生活の質が向上します。
THINKING 48
自分の小さな力を軽んじることなく
人のためになることであれば
積極的に行わなければならない
ごみが堆積すると問題が起きる
みんなが心を合わせて努力してこそ
清潔な環境となるのだ
文・證厳上人/訳・慮慇