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04月19日
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慈済会・生命に関心を寄せる家

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サバ州のはずれにある集落の妊婦達にとって出産は生命をかけた闘いである。

「慈済会・生命に関心を寄せる家」ができて、山の上に住む妊婦達に安心して出産する場所が提供され、ジャングルの中にあるビタス県の難産による死亡率はゼロになった。 

十年経って建物も古くなり、今年新しい建物が落成した。そしてさらに多くの家庭に新しい生命がもたらされるようになった。

サバ州アピのビタスにある「慈済会・生命に関心を寄せる家」は、十年以上も前に辺鄙な山中の集落の妊婦達に出産前後の期間を過ごす場を与えて来た。長い年月が経ち、建物もすっかりいたんできたので、昨年新しく建て直すことに決まり、今年の一月「生命に関心を寄せる家」の新しい建物が落成した。広々とした暖かい空間があり出産を待つ妊婦達を感動させた。

「慈済会・生命に関心を寄せる家」は二〇〇三年の五月に建てられた。これまではビタス県の妊婦達の難産や新生児死亡率はマレーシアで一番高かった。山地の妊婦達が家で出産する際や、病院へ行く途中で、難産のため母親も嬰児も守れなかったという残念なことも度々あった。

「もしも正式に助産の訓練を受けていない者が家でお産をさせると、妊婦が大量出血や難産のために亡くなる危険がとても高いのです」とビタス中央病院の院長ニザムさんは言う。ビタスは辺鄙な所にあり、山地では熱帯雨林の住民達が農耕を主な仕事とし、収入は少なく、とても交通費を負担することができない。そのため妊婦達は出産が近づくと歩いて病院まで行き、出産を待つ。定期検査などはとても無理な話である。

「私達も以前ジャンボンガン島の妊婦を受け入れたことがあります」とニザム医師は話す。ジャンボンガン島とはサバ州の最北端にある島である。「あの地域の妊婦は二時間も船に乗り、さらに一時間以上も車に乗ってやっとここに来ます」。もしも台風や雨の時は船も動かない。波止場についてもお金がなければ車に乗ることもできず、出産とは妊婦にとって生死を賭けた闘いである。

ビタス県政府の診療所の看護士クリスナは「お腹の大きい人が山を上ったり水の中に入ったりして平地へ来てお産をするのは、とても危ないことです。かりに無事に病院に着いても、住む所や食事の問題もあります」と言う。

産婦は病人ではないので、病院のベッドは簡単に与えられない。もしも親戚がそこに住んでいなかったらとても困ったことになる。十年も当地に住んでいた鄭栄輝医師が、産婦を支援する「順調に出産する計画」に参加したのをきっかけに、進んで慈済ボランティアに協力して、生命に関心を寄せる家を設立し、妊婦が安心して出産を待つことができるようになった。

クリスナは、以前はいつも妊婦が家でお産をする様子を想像しても、何もできないので、とても悲しい気持だった。「生命に関心を寄せる家ができて、医師も看護師も本当に安心しました」という。十六年の経験を持つ彼女は、「生命に関心を寄せる家」は当地の看護士達の強力な「後盾」であるという。

「ここの教育は私に、人々に対する思いやりの態度を高めさせてくれました」。カソリック教徒のクリスナが慈済を知り、このように心を通い合わせるようになったのは、人を助ける心という一番大切なものを、お互いが共通してもっていたからである。

「私はもっと多くの時間をかけて、この家に関心を持ちます。ここは私達の家なのですから……」と言う。

建て直しの間も
思いやりの心はつきない


生命を思いやる家は十年目に入った。足場の高い昔ながらの建築方法は妊婦が上り下りするのに危険なので、昨年六月から建て直しを始めた。だが建て直しをしている間、ここに滞在している妊婦達はどこへいけばいいのか? 「この家は閉鎖してはいけない」。アピのボランティア林雪珠達はビタス中央病院へ行き、院長のニザムに相談した。院長はその話を聞いて、妊婦達を病院に泊めてあげ、食事も提供している。ニザム院長は慈済人の奉仕にとても感動している。「貴方達に比べて私達が果たす役割はほんの小さなものに過ぎません。もし慈済の人達の力強い援助がなければ、『生命に関心を寄せる家』はとても十年も続けられなかったでしょう」

これから先も生命に関心を寄せる家の仕事を円滑にやっていけるように、アピのボランティアはビタス県政府の診療所の看護士と会い、家庭訪問をして妊婦の状況を知り、何を支援できるか話し合った。

「ボランティアの話を聞いて、『生命に関心を寄せる家』がただ妊婦の世話をするだけでなく、もっと深い意義があることがよく分かりました」と看護士スシラは言った。ボランティア達の世話は母と新生児の生命を守るだけでなく、一歩進んで一つの家庭の幸福にもつながっている。「これから後も妊婦が困っている時は、決して迷うことなく援助の手を差し述べます」

建て替えしている間、ペナンから来た建築業を営む張文翔師兄は、二週間に一度アピから車を三時間も走らせて、ビタスまで出向いて視察し、建設の品質に注意している。「請負い商が私達が真面目に丁寧にするのを見てとても感心していた」。請負い商も慈済の会員になった。

張文翔は「再建の費用はすべてあちこちから集められた善の寄付です。人々が寄せてくれた愛の心を絶対に粗末にできません」と言う。この使命感が困難を克服させ、遠い道のりも物ともさせなかった。「この場所がいつまでも妊婦を守ってくれるよう願っています」と言う。

安心して新生児を迎える

元の場所に再建された「生命に関心を寄せる家」は、元の三十七坪から百七十六坪の広さになり、寝室には十台のベッドが置かれている。中にはバスルームが二つあり、気持ちのよい客間やキッチン、洗濯室もある。アピのボランティア達は掃除をし、家具を買いそろえた。今年の元旦にはビタス病院へ妊婦を迎えにいく。

大げさな開館式は行われなかったが、ボランティアが妊婦と一緒に食事をし懇談しただけだが、妊婦に「竹筒歳月」を紹介した。この恵みを受けた人達に、この家は大勢の人達の思いやりで守られていることを忘れないようにと教えた。

妊婦達はボランティアに自分達は遠く離れて辺鄙な山の上に住んでいるので、もしも雨が降り川の水が溢れた時には路は通れなくなり、船もないし、下山して出産することもできないと言った。二十一歳のノジャリンは家は車で四時間以上もかかるバイダンの山地にある。初産の時、幸にもこの家があったので、安心して出産を待つことができたと話す。

今では「生命に関心を寄せる家」は、山地の集落の人達の誰もが知っている。五年前にこの家で初産を経験したスジェンナーは今年またここへ来た。「ここにいるととても安心できます」。スジェンナーは前の家は、高床式で風呂場とトイレは下にあってとても不便だったが、今は平屋なのでとても楽になったと言う。

十年で「生命に関心を寄せる家」は、すでに七百五十人以上の新生児をこの世に迎えた。さらにもっと多くの妊婦がここへ来るだろう。新しく建て直された「生命に関心を寄せる家」はますます人の役に立ち、山奥に住む人も、安心して新しい生命を迎えることができるようになるだろう。


文、撮影・楊秋鳳
訳・張美芳
慈済ものがたり

 

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